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【プルマガα】GDP12月度実績で17~19年度経済安定の見通し(寄稿69回目)

Posted on 2017年05月23日


2016年1月からの円高や新興国経済減速、EU離脱問題や国政治事情動静に伴い、2016年前半の企業収益は大きく悪化しました。

そして、値上げで年末より巌しさが増す庶民の家計でしたが、更に名目賃金の伸び悩みが続けば、実質賃金の伸びが大きく低下してしまいます。

でも、年初来の円高の一巡や世界的な製造業サイクルの改善を受け、年末にかけて日本経済が急回復を見せました。
設備投資は企業収益の悪化を受けて、2016年7~9月期には3年半ぶりの減少となっていましたが、10~12月には早くも増加に転じていました。
そのために、企業収益増加に伴う潤沢な手元資本を背景に、設備投資は今後持ち直しの動きが明確となる事が予想されます。

今年の春闘賃上げ率は、2年連続で前年度を下回る公算が大きくなっています。
一方で、企業の人手不足感が引き続き強いので、雇用者数は更に増加を続けるものと察せられています。
そのために、民間の消費額は雇用者の報酬に連動しているので、2017年度中は2016年度比で横ばい圏の動きを続けた後で、2018年度に入ってから徐々に伸びが上ると見做されます。

つまり、2017年度に入ると企業収益の回復を受けて設備投資が持ち直す一方で、物価上昇に伴う実質所得の低下を主因として民間消費が低迷するために、2016年比1%前後の成長にとどまると言う、真逆の二面性が予想されます。


【1】2016年10~12月の実質GDPは設備投資の上方修正などから1次速報前期比0,2%(年率1,0%)から、前期比0,3%(年率1,2%)へと上方修正されました。

2016年後半の経済成長のほとんどが外需によるものである事は1次速報時点と変わりません。
その一方で、経済成長率が1年にわたってゼロ%台半ばから、ゼロ%後半とされる潜在成長率を上回り続けた事は、日本の景気の安定感を良し悪しとも言えずに、それなりに安定感を国際社会に示しているものとして、一定の評価が出来ると思います。


【2】GDP2次速報結果を受け2月発表の経済見通し改定が在りました。
実質GDP成長率は2016年度が1,3%で、2017年度が1,0%で、2018年度が1,2%と予想されました。
2016年10~12月期の実績値上方修正を受けて、2016年度(2017年3月末迄)の見通しを0,1%に上方修正です。

2016年10~12月期は、輸出と設備投資が大幅に増加した事から1~3月期より連続のプラス成長となりましたが、家計部門は消費(前期比で0,0%)、住宅が(前期比0,1%)ともに前期比ほぼ横ばいにとどまり停滞色を強めています。
2017年1~3月期は輸出と設備投資は10~12月期の反動で伸びが大きく低下します。

一方で、2016年度第2次補正予算の顕在化が表れて、公共社会基盤設備投資で増加に転じて、雇用と所得と過常労働時間等の労働環境の改善が続く中で、12月より生鮮野菜の値上がりが一服していることもあり、今後の民間消費も増加する可能性が高いと視ます。
2017年1~3月期実質GDPは前期比年率で1,3%と、2016年10~12月期の1,2%とほぼ同じ伸びとなるものと察せられます。

そして、2017年度に入ると企業収益の回復を受けて設備投資が持ち直す一方で、原油由来の物価上昇に伴う実質所得の減少低下を主因として民間消費が低迷するため、前期比年率1,0前後の成長にとどまることが予想されます。
2018年度は2017年度の企業収益回復と物価上昇を受けて、春闘賃上げ率が3年ぶりに2017年を上回って民間消費の伸びが高まりますので、2017年の1%台半ばまで成長率が上ると見做されます。


【3】企業収益増加に伴い設備投資は回復しますが、春闘賃上げ率が予想通りに前年を下回る中で、物価上昇率が高まり(原油持ち直しで原油由来製品のあらゆる物価上昇主因)実質所得が下押しされるためです。

そのために、民間消費は停滞色を強める可能性が高いのです。
それゆえに、2017年度中は年率1,0%前後の成長にとどまると見做されました(既に2017年1月貿易収支がマイナスです)。


【4】しかし、2018年度は輸出と設備投資の回復が続いて、企業財務の改善の表れが一般家庭に波及して賃金の上昇率が連動して高まるので、民間消費=内需増化が持ち直してGDP成長率は年率1,0%台の半ばまで高まると予想されています。

多分に2016年11月トランプ新大統領誕生の円安株高要因が逆にGDP押上げに寄与するためです。
また、3月1日議会で新大統領施政指針演説の軍事予算6兆円増と公共事業投資110兆円と、規制緩和で製造業や大勢の事業種に対して政府の規制を縮小させることで、自由市場主義で市場が主導する型で、望ましい市場競争を促進し、GDP成長に繋げようとする政策が明言されました。

その、市場主義のそのものが伝統的な共和党の指針ですので、トランプ大統領と与党の政策が一致しています。
アメリカの新政権の人事異動4千人が4月末頃に終了して、夏前頃よりトランプノミクス政策が次々施行されて、秋頃よりアメリカの自由経済活動が活性化仕出して、それが日本経済にも波及して、17年秋~18年春頃より日本も押上げられて、GDP成長が2017年度より0,2%増と見做されます。

しかし、逆に視ると日本の経済活動がアメリカなどの外国の政治事情で揺れ動いている事になり、日本の自主的なGDP成長と言えない面が有ります。
既に日銀がマネタリー・ベース年間80兆円市場投入(残高400兆円)政策に対して、9月に今後の投入減少が明示されました。
そう言う政策の中で、今後の日本がGDP成長政策として1番最適なのがトランプノミクス政策の目玉である規制緩和です。

日本の5年間で財政出動400兆円が出した答えが、2016年度のGDP成長率1,3%なら、当初の計画が35%未達に為ります。
将来の目的の実現(今、現場の労働人口の将来の社会安全保障が目的)が夢と為ります。
そうなると残された手段が、市場のより強い動きでGDP成長刺激に繋げる事です。

つまり、あらゆる業種が新参出来て経済活動が増大すると、労働力不足も当然に新たなる潜在労働力の受入が増大して、内需拡大に繋がります。
それが、市場の規制緩和政策で、GDP押上げで今の日本に大事な政府しか出来ない唯一の成長政策の規制緩和なのです。


【5】消費者物価上昇率(除、生鮮食品)は、2017年度にゼロ%台後半まで伸びを高めた後で、需給のバランスの改善が見込まれている2018年度に1%台と成ります。
但し、物価安定の目標である2%に達する事は難しいと察せられています。
消費者物価年度ベースでは2016年度がマイナス0,2%で、2017年度が0,8%増と上述の理由で、2018年度が1,0%増と予想されます。


既に、原油価格の上昇に伴うガソリンや灯油の大幅な上昇などから2017年1月に前年比0,1%と13ヵ月ぶりの物価上昇率プラスとなりました。
電気代とガス代は前年比で下落が続いていますが、その原油価格の上昇が今後遅れて電気代とガス代に反映されることにより、今後一斉に値上げのペースが加速する事が見込まれます。

エネルギー価格は2017年2月にプラスに転じた後に、2017年度入り、後にはGDP上昇率の押上げの寄与が0,3%程度まで拡大すると視られています。
また、10月迄の円高による物価の下押し圧力は残っていますが、現実に今のドル円レートは既に2016年1~3月とほぼ同水準となっています。
その為に、夏頃からは今の110円台の円安が物価の押し上げ要因となる公算が大きいのです。

また一方で、今の潜在成長率をゼロ%台の後半と見做されていますが、2017年度中では年率1%前後のGDP成長が続くために、需給バランスの改善はいったん足踏みとなる可能性が高いのです。
需給バランスが改善に向かうのは、成長率が年率1%台半ばまで高まる2018年度に入ってからと成りそうです。

今の見通しにおける実質GDP成長率の予測を基にすれば、需給の差がプラスに転じるのは、予測されるのが2年後の2019年1~3月期と成りそうです。
以前も、今も、今後も、日本の景気の安定感を良し悪しとも言えずに、それなりに安定感を国際社会に示しているものとして、一定の評価が出来ると思います。

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