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【プルマガα】中国人民元の展開に付いて・米欧政治動静が波乱材料に (寄稿76回目)

Posted on 2017年06月16日


2月の人民元レート市場実勢は狭い変動圏で横ばい推移に為りました。

1月はトランプ米大統領がドル高是正の必要性に言及したことを受けてドル全面安と為りましたが、2月もその流れを引き継いで米ドルは弱含みの動きと為りました。
一方、米中の経済動静に大きな変化は在りませんでした。
公表で、中國は景気持ち直し傾向が継続して、米国では景気の緩やかな拡大傾向が維持されています。

6月末に向けての人民元レートは、米中の金利差縮小がドル高・元安要因と為りますが、米国と欧州(オランダ等)の政治が波乱材料で振れ幅の大きい展開が予想されています。

市場実勢の2月高値は1米ドル=6.8557元で、2月安値は6.8871で、2月末は6,8690元と前月末比で0,3%の小幅な元高・ドル安で取引を終えました。
他方で、基準値も狭い変動圏で推移し、2月高値は1米ドル=6.8456元で、2月安値は6.8898元で、2月末は6.8750元と前月末比で0,2%の小幅な元安・ドル高と為りました。
なお、1月の人民元対日本円は、日本円が人民元以上に米ドルに対して上昇したために、100日本円=6.13515元(1元=16.3円)と前月末比1,8%の元安・円高と為りました。

一方で、世界通貨の動きを見ると概ね米ドルが弱含みの動きでしたが、ユーロは米ドルに対して下落しました。
フランスで大統領選に向けた政策論争が本格化する中で、ユーロは米ドルに対して前月末1,7%の下落と為りました(以下米ドルに対して)。
他方で、日本円は米ドルに対して0,6%上昇して、新興国の通貨もロシアルーブルが2,9%上昇、し韓国ウォンが2,8%上昇、インドルピーが1,7%上昇するなど概ね堅調でした。

また、2016年2月以降に、中国人民銀行は通貨に対する安定を重視した制御を実施して、基軸通貨の中でも米国に次いでシェアの大きい欧州のユーロに対する連動性を強めていました。
人民元の変動性は依然として相対的に小さいですが、上下変動のタイミングそのものがユーロの動きと一致することが多くなって来ました。
2月に関しても概ねその傾向は続いています。

そして、6月末に向けての人民元は、米中の金利差縮小がドル高・元安要因と為りますが、米国と欧州の政治がご覧の通り依然として市場の波乱材料であり、振れ幅の大きい展開を予想します。
想定されるのは1米ドル=6.5~7.1元とされています。

なお、米中の金融政策の方向性を考えると、米国では緩やかな景気拡大が続いていますので、予測対象期間内6月までに既に追加の利上げがあるものと見做されています。

一方で、中國は政府公表の限り、景気の持ち直しとともに住宅バブルが深刻化(対外的なGDP押上げ公表の為に=内需拡大させる為に=一種の水増しの為に誰も住まない高層マンション群建設に財政出動)で、政府はバブル退治に乗り出していて、今後は景気動静に急ブレーキが見做されています。

また人民元の下落を阻止すべく、米国に追随して利上げを実施すれば住宅バブルそのものが崩壊仕出す恐れも在る為に、中國が予測対象期間の6月度迄に利上げに踏み切る可能性は低いと見做されています。
従って、米中の金利差は縮小傾向になる可能性が高く、ドル高・元安の動きとなりやすい環境に在ります。

但し、トランプ政権がドル高是正に動く可能性は消えた訳では在りません。
110兆円財政出動社会基盤投資する財政政策の行方も依然として不透明なのです。
トランプ大統領の3月1日施政方針演説では、国防費の10%拡大(66兆円に)、インフラ投資の拡大(110兆円に)、また法人税と個人所得税の減税を前面に打ち出して、市場もトランプノミクス政策を評価してドル高株高に為り、世界の投資家が尚一層のアメリカ買いに為っています。

しかしです、そもそもトランプノミクス資金をどう調達するのかなどの財政基本方針は未だ明確で在りません。
3月に入ってドル高の修正で過度なアメリカのトランプノミクス期待は落ちましたが、トランプノミクス政策施行で米議会と政権の対立が新たに鮮明となれば、再びドル高修正=円高となる可能性も未だ在ります。

他方で、欧州政治の選挙動静の混乱というドル高に為る材料も在ります。
今回の予測対象期間内では、3月にオランダ総選挙(一応、右派勢力台頭が阻止されました)、4~5月にフランス大統領選挙(仏も強力な移民政策除外主張の右派勢力が居ます)が予定されています。
その結果で、極右の大衆迎合主義政党が躍進すれば(オランダは右派勢力が躍り出て来ました)、ユーロに対する世界の信頼感が揺らいで来て、1米ドル=1ユーロを割り込む蓋然性も十分在ります。
米国と欧州の政治動向が、ユーロの動静に追随している人民元の行方を左右する波乱含みの局面と言えます。

なお、中国は3月5日に全国人民代表大会(全人代)が開幕しました。最大の注目点は2017年の成長率目標でした。2016年の成長率目標は6,5~7,0%との範囲で示されていましたが、2017年は6,5%前後または6~7%への範囲拡大などと、若干の下方修正が在りました。

但し、この程度の下方修正で納まれば人民元レートへの影響は限定的ですが、中國政府の公表に数値入力齟齬が在り得ますので、今の段階で言えるのが2017年の成長率が実質6%切る蓋然性が在ります。

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