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【プルマガα】熊本地震惨禍踏まえて旧耐震基準ビル市場を視ます(寄稿16回目)

Posted on 2016年04月22日


プルマガα12

今回は12回目の寄稿ですが、16回目の寄稿で熊本地震について触れていきたいと思います。

被災地の皆様は何かと不便な状況が続いている事かと思いますが、どうか踏ん張ってください!!

特に車で生活をされていらっしゃる方々はくれぐれもエコノミークラス症候群には気を付けて下さい。(水分補給と適度な運動)

また、避難所での生活を余儀なくされていらっしゃる方々は手洗い、うがい、マスクの着用を徹底して下さい。

それではプルマガαに入らせて頂きます。

 

熊本市内の地震被害惨状映像見る限り、建物被害は、1.木造安アパートと築古住戸倒壊、2.鉄骨造の壁タイル剥がれ落ち、3.旧耐震ビル崩壊でした。

中でも35年前迄の旧耐震基準のマンションは1~2階が潰れて市役所は途中の階迄潰れビルが大きく変形していたのには驚きました。

市役所は築50年を建て替えずにいたのは、学校や病院等の建て替えを優先して来たからだとのことです。


一方で昭和57年以降の新耐震基準ビルの倒壊は視ていません。一部の築浅マンションで2棟を繋ぐ渡り廊下が全ての階で損壊して、唖然とした光景を晒していました。素人は単に見ただけで熊本は耐震偽造設計と鉄筋削減手抜き工事事件が在った地ですから、またもや築浅ビルでも発覚していると受取りがちですが、これはエキスパンジョイントと言います。

損壊したのではなくて、すべて連絡通路は損壊する様に造られています。

建物間が縁切りされていないと、異常な負荷が掛かって最悪全部が崩壊する事も在り得るからです。然しTV報道は再々その築浅ビルの損壊映像を流していましたから、誰が見ても不審がって怖がると想われます。

報道の在り方も今後メディアは一工夫すべきか視聴者は指摘すべきと思います。

そこで、旧耐震の築古賃貸オフィスビルが置かれている状況や、オリンピック前の東京オフィス市況に軟化の懸念や分譲マンションデベロッパーに収益拡大と安定を狙い地方展開の促進や、他事業分野進出する動きが出ている様ですのでご紹介します。

1. 旧耐震の築古賃貸オフィスビルが置かれている状況

オフィスビルに入居のテナントが耐震性を重視する姿勢は強く、旧耐震のオフィスビルの競争力は相対的に自然低下しています。今回の熊本地震映像を注目された関係者は、旧耐震ビルの怖さが実感されたと思います。

旧耐震オフィスビルの中には被災市役所の様に築40年超えるものもあり、耐震改修や大規模修繕、建替え等を視野に入れた対応を検討する段階にあると思われます。然しむしろ熊本地震惨禍を見た限りは検討と実施は今から急務であると察します。

何故なら、今回の中央構造線の一番最西端で勃発の熊本市の大地震は、4日目には阿蘇から大分に震源が移動し、丸で北上してるいかの様です。

この連鎖構図は、丁度10年間も揺さ振った慶長大地震の様と酷似しているからです。4世紀前に起きた日本最大の地震でした。構造線上を四国から北上して行ったのです。専門家は未だ断定が出来ないのが予知の困難なところです。

然しその数百年に1回の出来事を案じる対策は予知ではなく、いつ来ても良い様に住まいは最大地震M7.5に倒壊しない様に、耐震強化を手当てしておくことではないでしょうか。

東京都心5区賃貸オフィス市場の賃料の状況や建築費の状況等を踏まえ、投資回収の可能性の変化から、旧耐震の築古賃貸オフィスビルが置かれている状況を視て、ビル経営の方向性に付いてアプローチしてみます。

依然と、旧耐震の築古オフィスビルは競争力が低くて、何棟かの追加投資が必要になるケースが多いのが実情です。

オフィスビルは、築40年以上の物件の賃料収入は、築40年未満に比べて低く、評価額変動率は築40年未満が首都5区ではプラスですが、この数年築40年以上の物件はマイナスの侭で直近でも評価額は低下しています。

※オフィスビルの賃貸市場や売買取引市場では、築古ビルの競争力は相対的に低いとは再々指摘しました。都心5区のオフィス在庫面積減少率は、一般的に築年が古い程どんどん大きくなる傾向があります。

旧耐震ビルの在庫面積は、3年前までは都心5区平均で1~2割程度減少していましたので、建替えやリノベーション等追加投資が行われていたと推測されます。残っている旧耐震の築古オフィスビルに付いても、耐震改修や大規模修繕や建替え等何らかの追加投資が、必要になるケースが多いと推察されます。築古ビルでも好立地、高グレードで耐震改修を行なっている物件の中には、築浅物件以上に競争力持つ賃貸オフィスビルも存在します。

※耐震改修と大規模修繕や建替え等の投資回収条件が厳しくなっている。都心5区の旧耐震築古賃貸オフィスビルに付いて、耐震改修と大規模修繕や建替えなどの投資回収を取り巻く環境は、イ.築費の止まりから投資額が膨らむ一方です、ロ.オフィス賃料低迷でインカムが相応に上昇しない、というダブルの要因から投資回収条件が厳しくなっているのが現状です。

イ. 建築費の高止まりに付いて。

技能労働者数が減少していた中で景気回復、消費税増税前の駆け込みの建設需要、東日本大震災の復旧・復興工事、大型補正予算の執行等から、労働需要が増加し労務費が上昇した事と、また円安により輸入資材の価格が値上がりしたこと等を背景として、建築費が4年前から高騰しています。数字上では、リーマンショック前の8年前後半水準と同程度となっています。

ロ. オフィス賃料の低迷に付いて。

東京は賃貸オフィス市場では空室率が低下し、募集賃料は上昇してますが、募集賃料の上昇には力強さが見られず、緩やかな伸びを示してはいますが、上昇を始めてから既に3年近く経過していますが、募集賃料水準はリーマンショック前の水準には依然と程遠い状態です。先行指標の東京5区がです。他の7大都市圏は昨年、賃料頭打ちに成っています。

この点は地方都市のレジデンス賃料も連動して頭打ちに成っており、同じ状態を示しています。

※旧耐震の築古オフィスビルに関する、今後のビル経営の方向性に付いて。
これまで視て来ました様に、オフィスビルが置かれた事業環境は厳しい面があります。例えば、賃料水準が100,000円/月坪で投資額を120~150万円/坪とした時のNOI(手取り)利回りは4~5%で、減価償却を控除すると2~3%に成ることが想定されます。

収益性が築年数と比し築浅と相当低いため、且つ建替えが難しいケースは少なくないと考えられます。

また、個々のビル属性等によって、賃料回復等の業況に大差が生じていることから、今後の耐震改修や大規模修繕や建替えなど何らかの追加投資を行うにあたっては、採算性に配慮しつつビルの属性等を踏まえた工夫や差別化を図る必要があると考えられます。

もっとも、一棟貸の対応ではテナントの退去や倒産や賃料滞納時収入減少の影響が大きく、賃料交渉時には貸主の立場が弱くなる等の受け身交渉のリスクが在りますが…。

 

2. オリンピック前のオフィス市況に軟化の懸念が出ています。

オリンピックとパラリンピックの開催迄に、東京オフィス市況が軟化する可能性の主な要因は、今年以降に集中する東京の大量の大型ビル供給と未だ実施動向が未確定ですが消費税再増税を挟んだ景気の動向で、景気拡大が8年前並みのミニバブル水準に届かない場合は、3年に渡って続く大量の新規供給量がオフィスの需要増加量に勝ってしまい、逆に供給過多で市況が緩む懸念が出て来ました。

8年前から、東京都心5区で大型ビル供給が集中したことが3回在りました。5年前の供給集中は、景気悪化でデフレ突入と小売企業の相次ぐ破綻等から、緩やかに回復する途上で起こり、港区中心とする都心5区の供給集中でオフィス空室率が急上昇して募集賃料も下落を一層強めました。

8年前は都心5区でミニバブルといわれた好況期で企業等のオフィス需要が拡大したことから、空室率は低下し大規模で高スペックなビルの新規供給が賃料水準をけん引する形となり、募集賃料が大きく上昇しました。

6年前は折り返し迄の半年間に供給が集中し、年間の都心5区の供給量は上りました。そして景気は緩やかな回復状況新規供給集中がオフィス市況に負の影響を及ぼし、空室率は上昇して下落基調にあった募集賃料は歴史的といわれる低水準まで落ち込みました。

今後は予定される供給集中は、今年単年に止まらず2~3年後迄連続しています。更に、オリンピック後も5年後は大量の新規供給が見込まれています。

新規供給を吸収しうる需要が生じるかは景気状況によるところが大きいと考えられます。以前のミニバブルの様な景気拡大があれば、今年以降の供給集中の影響が軽減ないし、回避出来る可能性が在り得ますが、来年4月に予定される消費再増税の影響も在り、今の様な相対的に低位の景気状況が見込まれることから、オリンピック前にオフィス市況が軟化する可能性が大きいと考えられています。

再々申上げますが、消費増税を吸収出来る景気の活況かどうかで在って、政府の実施可否判断は熊本地震の様な自然災害惨禍被災では在りません。

 

3. 分譲マンションデベロッパーに、収益拡大と安定を狙い地方展開の促進や他事業分野へ進出する動きの事業展開動向に変化がみられます

分譲マンション市場は環境変化の影響を受け易くて、2年前は消費税増税前の駆け込み反動から都心部も需要が激減しました。中心地は竣工後も売れ残りが多発し、完売迄ディスカウントでも半年以上要するのはざらに在りました。

然しその後も急な価格上昇等に伴い、投資目的や相続対策目的などを除き、実需用が落ち込んだ状況が見られました。この様な中で一部分譲マンションデベロッパーは、最大のマーケットである東京圏の分譲マンション素地単価価格等や工事価格の上昇に伴う採算悪化や、或いは価格の上昇等による低調な販売状況推移に省みて事業の再編を行うケースが見られます。

一方で1年ほど前から、デベロッパーの一部で新たな事業展開を図る動きがみられています。主力の分譲マンション事業の拡大を図る為に地方都市に進出する動きのほか、買取再販や高齢者施設等の他事業へ進出する動きなどがあげられます。これらは、新しいビジネスチャンスを取り込み今後も業績成長を持続させることを狙ったものと今のところ考えられています。

時代は変わる ー 。これまでの不動産の枠にとらわれない目線で不動産を再考し、
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