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【プルマガα】金融で世界と日本が見える=日銀の新金融政策が...(寄稿47回目)

Posted on 2016年12月22日


プルマガα47

今回よりプルマガの情報はリアルタイムの物を発信していくように致します。
よって今回が47回目の寄稿となりますがご了承ください。

それではプルマガαに入らせて頂きます。

 

9月21日、日本銀行は新しい金融政策を発表しました。

この「長短金利操作付き量的・質的金融緩和策」の内容及びその考え方は、なかなか複雑な内容でした。

長年、金融機関の一人として係わって来ましたので、それでも余程注意して読まないと、その内容がわかりづらいのです。

この新しい政策については、一部の先鋭的な理論派の経済学者達からは強力な経済推進の支持がありましたが、多くの金融機関の実務家や伝統的な経済理論を信奉する経済学者からは、日銀新政策に批判的な見解が既に示されています。

おそらく、批判的な後者の実務家の部分は、この政策自身のわかり難さと、現在のわが国の経済政策の課題がデフレ脱却のみではない事であるとの認識が在り、従って我が国が現在抱えている経済政策の課題を、金融政策のみで解決しようとしていることに由来しているのではないかと考えています。詰り、中央銀行の財政出動と金利政策では限度が在ると見ています。

予てから、再々皆様に日銀の極低金利継続とマイナス金利政策と財政出動政策に、疑義を呈して理由ご説明して来ました。
経済成長させる動機を付けさせて誘導するのは、日銀のみが担ってる様な印象を、金融政策の事情が分かり難い国民に植付けている様に、まるで恣意的な世論操作の様に想っていました。

果たして日本が一番問題の、政府自身しか出来ない構造改革は何時実行するのでしょうか。日銀の2種類の金融政策だけで内需拡大が進み=経済成長が出来るなら、こんな楽な国政は在りません。資本主義国である限り、貧富格差が一番の社会問題であることは資本主義国の宿命であり、何処の国でも貧富格差是正がいま最優先されている政策なのです。

この9月21日に発表された新政策は、次の2点からなっています。
第1点は、長短金利の操作です。これは、講学上では「イールドカーブ・コントロール」と呼ばれます、具体的には、短期金利のみならず、長期金利についても中央銀行=日銀がその政策手段を行使して、10年物の国債金利が概ねゼロ%程度になる様にしましょうと言うものです。

でも伝統的な経済金融理論に従えば、中央銀行=日銀は短期金利のコントロールは出来ますが、長期金利のコントロールは出来難いのです。従って、例えば長期の国債の売買によって、中央銀行がそのコントロールを図っても効果はないのでは、と言うことに成ります。

第2点は「オーバーシュート型で全てを提供」と呼ばれるもので、これは、2%物価の目標を実現するため、これを安定的に持続するために、必要な時点までこの新しい政策を継続すると言うものです。この2点目が、更に1点目より分かり難いのです。

もし必要があれば、この新しい2点の政策を2%の目標を達成した後も続けますよとも読めて来るのです。普通は、その目的達成が明らかになれば、物価上昇の行き過ぎを予防する為に、そういう金融政策を止めますし、伝統的な経済理論でもそう為すべきと提言するのですが、そうはしないと言っている様です。

この日発表されたこの政策発表の文書は、その背景ともなった最近の金融政策の「総括」も含め、この2点の他にも幾つかの目立った特色が在ります。

第1は、日銀の新政策説明理由に国際的視点の薄さです。
例えば、金利引き上げの過程にある米国のFRBは、本年中に4回の引き上げがあり得ると予想されていましたが、まだ1回も
引き上げされて居ません。トランプ氏当選後の今もです。それは今の世界の経済・金融情勢の故であるとされています。

他方、日本銀行は、例えば原油価格の下落等国際要因が物価上昇を困難にした要因だとして挙げていますが、具体的な金融政策を考える際の要因として、世界の経済・金融情勢を明示的に掲げて如何あると説明していません、これは奇異です不思議です。

同様に、これらの日銀の新政策2点が、あたかもわが日本がまるで閉鎖経済の如くに語られています。海外の要因によりわが国の物価が上下することは、当然にどこの国でも在る様に、極端な事例ではエネルギーの天然ガスをロシア一本に依存しているウクライナの様な、ロシアの経済制裁で国家自身が一変して瞬く間に脆弱な体制に陥っている国も在るのにです。

それを、海外の要因の全てを、わが国の金融政策にて対処しようとしているかの様に日銀が弁明しているしか見えません。
また、それがほんとうに日銀で可能であるとしているようだと、うっかり取れそうな印象を世間に与えます。

どうも、日銀の陰に隠れて肝心の政府の姿が見えて来ません。
何故かは、皆様もお気付きかと察します、政府だけしか出来ない経済改革がこの5年間で棚上げに成っているからです。

第2は、この異常な日銀の金融政策のもたらす現実の負担と利益に付いてです。
例えば、マイナス金利の導入は、国債買い入れとの組み合わせによれば、中央銀行が短期と長期金利の全般に、押し上げや押し下げの影響を与える上で有効だからです。だから進めており、今後も日銀が進めるとしています。でも、金融政策も含めて、およそ経済政策はただ単にそれが有効であると言う単なる理由だけで、これを採用しましょうとすると言うものではなかろうと想います、どうしても思想の薄さが在ると察します。

新しい日銀のその2点の金融政策手段のもたらす負担と利益とを比較して、その討議の後で採否を決すべきではないでしょうか。肝心な、その損得勘定の検討についての言及がないのが実に曖昧で不安と疑義視線を送らざるを得ません。

既に、3年を超えて採用されている日本の異次元の金融政策は、銀行をはじめとして各種金融機関の収益を圧迫しています。来年3月末の本決算は、銀行は軒並み大幅減益の予想です。銀行が儲からないと、融資が焦げ付いたら大変ですから相手を見て融資を仕出します、つまり慎重な貸し渋りが始まります。

結果として、今の金融システム全体の不安定化もたらす恐れなど勃発しないとは誰も言えません。また、そのもたらす金融収益の低下は一番の問題の年金基金の運営をむずかしいものとしています。このことは、この政策がわが国の社会保障制度の根幹である年金制度を蝕んでいることを意味しています。

ドイツ、フランス、オランダ等欧州大陸諸国において、EU中央銀行のマイナス金利採用に強く反対しているのが、実は年金基金の団体である事を、我々日本国民は看過出来ない関心事にするべきなのです。このような異常な政策を長期にわたって実施する事の社会的負担=社会生活の損失は低くない筈です。

第3は、例えば現在物価が上昇しないのは、予想物価上昇率が低いからであると日銀が説明している点です。
現在の物価が上昇しない原因は、必ずしも金融の範囲内の話ではないかも知れませんし、その原因究明は、むしろ社会学の別の経済以外の心理学の専門分野領域の話かもしれません。

例えば、老後の生活が不安なため国民が消費をためらっているからかも知れません。だとすれば、その解決策は金融政策ではなく、多くの国民が安心し得る社会保障制度の確立という事です。

2年前から、独身男性の貯蓄が2百万円を超えて独身女性を初めて上回りました。若い男はお金が無いから車離れをしている訳
では在りません。将来の生活に慎重に成って来た証しなのです。

とは言え、これまでの日本銀行の異次元の金融政策は80円台の超円高を是正して、或る程度の物価上昇をもたらしました。翻って、現在のわが国経済の課題とは思ったように上昇しない物価だけでは在りません。日銀が、それ相応の努力を今迄してある程度成りの成果挙げたわが国の中央銀行に対して、更に、日銀の何故金融緩和はもっと効かないのかを問うのは余りにも酷でないでしょうか。日銀の背中におんぶされた政府が、いよいよ構造改革=行政改革に踏み切る段階ではと想います。

今わが国に求められているのは、25年1月の共同声明の中で、もう一方の当事者である政府の側のサービスと利益の提供即ち経済構造の変革=行政改革=規制緩和を図るなど、日本経済の競争力と成長力の強化に向けた取組を、具体化させて、持続可能な財政構造を確立するための取組を、着実に推進すること=構造改革ではないでしょうか、政府自身がです。

台湾の新政権蔡総統民進党の政策は、馬総統国民党為政が棚上げして来た構造改革と年金問題解決に在るとしています。

行政改革は、金融政策や財政出動の様に直ぐに目に見える効果は出来て来ません、多岐多様な項目の改革ですから時間を要します。然し改革しないと将来の国民生活が担保されません。

でも、改革とは既得権益階層の市場開放を必然的にもたらしますので、果たして与党こそが既得権益階層の代弁人で在る限り、それが一番の日本の改革阻害問題ですが、今はその為政の姿勢改めて何時から何をどこまで程度ぐらいは国民に今示さなくてはなりません。トランプ次期大統領の規制緩和演説でアメリカの市場がうなぎ登りで、いまの日本も円安株高の利潤を得ている現実見れば納得できます。

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