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【プルマガα】Jリート市場が6%上昇し取得額は過去3番目の水準(寄稿67回目)

Posted on 2017年05月16日


10~12月期GDP成長率は4四半期連続プラス成長で、住宅市場は分譲マンションを除いて堅調に推移しています。

東京のオフィス市場は空室率が低位で推移する中で、最上クラスのビルの賃料の方は天井感が強まっています。
2016年の訪日外国人客数は順調に増加しましたが、全体の宿泊者数や旅行消費額は伸び悩みました。
一方で、日本のJリート市場は上昇し、リートの物件取得額は過去3番目の高水準と成りました。

そして、2016年10~12月期の実質GDP成長率は前期比で年率1,0%増となりました。
4四半期連続で潜在成長率を上回る伸びを示して安定の経済環境が続いています。
経済産業省によると、10~12月期の鉱工業生産指数は前期比2,0%増と3四半期連続で上昇して、消費税引き上げを前に駆け込み需要のあった2014年1~3月期以来の高い伸びと成りました。

2016年の新設住宅着工戸数は6,4%増加の約97,7万戸と為っています。
このうち、全体の4割=39万戸を占める貸家の着工戸数が10,5%増で高い進捗率を示し、5年連続で増加していました。
新設住宅着工戸数は11年前迄は120万戸台が連続していましたが、8年前よりマイナス34%の80万戸台に着工戸数が急減して、以後は微増していますが90万戸前後着工を辿っています。

2016年貸家着工戸数10,5%増に付いて、先般、その原因が相続税改定に拠り富裕層が貸家に金融資産を移したと述べましたが、その流れが2017年1月からも目立っています。
その為に、全国で貸家戸数のオーバーフロー=過常乱立現象が散見されます。
つまり、単に富裕層が相続税対策で貸家業を営む分ですから採算度返しに陥り易いのです。

一方で、2016年の首都圏のマンション新規発売戸数はマイナス11,6%の約3,5万戸となり、年連続で減少しました。
エリア別では東京都区部と東京都下が2割以上も落ち込んでいました。
1戸当たりの平均価格はマイナス0,5%の5,490万円に下落に転じましたが、逆に㎡単価は1,8%増の79,3万円に為り4年連続で上昇しました。
また、2016年の首都圏の中古マンションの成約件数は約3,7万件(前年比6,9%増)となり過去最高を更新すると共に、その実数が新築マンション販売戸数を初めて上回りました。

今年の住宅市場着工戸数は、需要の足もとが上昇傾向にある住宅ローン金利や、アパートローン(=事業者融資で、個人融資では在りません)に対する金融庁の銀行の融資監視の強化と、中古住宅市場の活性化政策の普及等、新築タワーマンションの固定資産税の変更などが注目されています。

中古住宅市場の活性化政策は、政府がホームインスペクション普及を掲げています。
その政策で、既存住宅インスペクション・ガイドラインを策定しました。
中古住宅の場合は、そもそも新築時品質や性能の違い、その後の家主の維持管理や住宅の劣化状況によって、同じ経年でも物件ごとの品質等に差が在りますので、ユーザーが購入する際に品質などに不安を感じることが多いのです。

その、購入不安を払拭するためには、売買時点の住宅状況を把握できるインスペクションが効果的で、消費者のニーズも高まっています。
そこで、政府が中古住宅リフォームトータルプランにおいてもインスペクションの普及を掲げていました。

実際にインスペクションは、さまざまな現場で行われています。
新築入居時の内覧会での検査や、リフォーム工事の竣工時の検査などでも活用されています。
しかし、そのガイドラインは中古住宅の売買時の検査に限定しています。
中古住宅の売買時の検査としてのインスペクションでも、中古住宅の現況を把握するための基礎的な現況検査や、劣化が生じている範囲や不具合の生じている原因などを把握するための詳細なインスペクションや、現況からさらに性能を向上させるために性能を把握する性能向上インスペクションの段階に分かれています。

ガイドラインは、あくまでも一次的なインスペクションである現況検査に関するものです。
したがって、ガイドラインの検査方法としては、目視を中心に、住宅の傾きやひび割れの大きさなどを測る一般的な計測器を用いるまでとしています。
詳細なインスペクションを行うには、破壊調査を行うことに為りますが、その為にはそもそも住宅所有者の同意を得る必要がありますので対象外です。

そのガイドラインが示す検査は、対象部位ごとに劣化事象の有無を確認するもので、主な劣化事象とは、

  1. 構造の耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの(事例、蟻害・腐朽・腐食や傾斜・躯体のひび割れ・欠損等)
  2. 雨漏り・水漏れの発生や発生可能性が高い建物
  3. 建物の配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの(事例、給排水管の漏れや詰まり等)が在ります。

但し、目視可能な範囲に限定されて、容易に移動できない様な家具などで隠れている部分については、目視できなかったことを報告することとされています。

実際に中古住宅の購入検討者が、詳細なインスペクションを依頼する際には住宅所有者の承諾を取り付ける必要があります。
その、該当する住宅の基本資料を入手して提出することになっています。
又、書面により業務委託内容を確認し、検査終了後には、チェックリストや写真などを活用した検査状況を報告書という形式で受け取ることができます。
なお、中古住宅のインスペクションの注意点が瑕疵の有無を判定したり、瑕疵がないことを保証するものではないことがあり、建築基準法等に適合していることを判定するものではないことで、検査時点以降に変化がないことを保証するものではないことを定めています。

また、今回の注目点が検査側の中立性に関する情報がガイドラインに盛り込まれたことに在ります。
第三者の検査事業者が検査することもあれば、瑕疵保険の加入を前提に検査したり、仲介業者が売買促進目的で検査することもあり、中立性を確保するために、以下の点がガイドラインに記載されています。

  1. 自らが売主となる住宅については、自らがインスペクションを実施しない事、検査する住宅において仲介やリフォーム受託した場合や受託しようとしている場合は、その中古住宅検査趣旨を明らかにすること
  2. 仲介やリフォームに関わる事業者から、検査事業者が便宜的供与を受けないこと
  3.  守秘義務を負うこと などです。

地価に付いて、全国主要都市部における再開発事業の進展などから地価の上昇が続いていますが、先行して上昇してきた東京圏では一部に鈍化の気配も見られています。
国土交通省の地価レポート(平成28年7~9月期)によると、東京圏は上昇が減少し横ばいが増加していました。
一方で、大阪圏・名古屋圏・地方圏における上昇地区数は前回と変わりません。
そして、地価下落地区数は27月連続でゼロとなっています。

その流れを観ると、民主党政権時代で60~70%と大勢がマイナス3~ゼロ%と地価が低迷していましたが、自民党政権で上昇に転じて4年前にゼロ~プラス3%が80%占めて、3年前に100%占めています。
なお、3年前より大阪圏・名古屋圏・地方圏で10%前後の地価上昇地が出ています。

オフィス市場に付いて、東京は空室率が低位で推移しており、年率で4~5%の賃料上昇が継続しています。
12月の都心5区オフィス空室率は、前月比で0,14%減少の3,61%で、平均募集賃料は前年比で4,8%の上昇に為っています。
他の主要都市ではオフィス新規供給が限定的であるために、東京を上回るペースで空室率の改善が進むものと思います。

主要都市の空室率が10%切ったのが5年前で、大震災罹災地の仙台が2年前でした。
一方で、成約賃料調査に基づいては、東京の最上クラスビルが前期比でほぼ横ばいの坪33,785円(0,2%増)となりました。

高額ビル物件では20157~9月をピークに賃料の天井感が強まっており、テナント誘致に時間のかかるケースも増えています。
森ビルの東京23区オフィスニーズに関する調査によると、移転理由として業容・人員拡大や1フロア面積が大きいビルが上位となるなかで、2011年以降に一貫して低下してきた賃料の安いビルに対する需要増が賃料押し下げ要因に為っています。

賃貸マンションに付いて、東京23区のマンション賃料は緩やかに上昇しています。
2016年7~9月期は前期比で小幅に下落しましたが、前年比ではシングルタイプが2,1%増でコンパクトタイプが0,3%増で、ファミリータイプが0,5%増となっています。

また、高級賃貸マンションについても空室率の低下に伴い賃料が上昇して、12月には前年比で2,3%増に為りました。
なお、賃料が30万円以上や面積が30坪以上の高額な賃貸マンションは、空室率が4年前に10%切り6%台に減少しています。
その賃料は2年前より急ピッチで伸びて、2016年が8,5%増の高い率に為っています。

Jリートに付いて、2016年10~12月期の東証リート指数は、新大統領トランプ政策で沸いた株式市場に対する出遅れ感などから9月末比で1,7%上昇しました。
2016年を振り返ると東証リート数の騰落率は6,2%増となり2年ぶりに反発しました。
英国のEU離脱決定や米国のトランプ新大統領誕生など海外発の政治的な動静で翻弄されましたが、日本国内の不動産市況が底堅く推移し、業績が好調であったことがプラスに働いていました。

リートの新規上場7社と物件取得額約1,7兆円はいずれも昨年実績を上回っています。
特に、物件取得は過去3番目の高水準で、国内の不動産取引が騰高の為に減少の傾向にあるなかで、上場リートの高い物件取得力を示す1年と成りました。
資産のタイプ別に見ると、物流施設やホテルが大きく伸びた一方で、運用資産の約8割を占めるオフィス・住宅・商業は減少しました。

エリア別では都心5区の比率が前年の28%から23%へ低下しました。
不動産の取引利回りが低下する現状のなかで、2016年でリートもより高い利回りを求めて従来のテナントや住宅取得から様々な種類の取得へ、そして都心部から周辺エリアへと投資対象を拡大しています。
その点に付いて、リートのケネディクスもリーマンショック後に薄れていた地方主要都市物件取得の方針を示しています。

今までの不動産投資の枠にとらわれない目線で不動産投資を再考し、オーナー利益の最大化を目指します。
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