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【プルマガα】日銀短観3月調査~大企業の業況判断は5ポイント上昇(寄稿68回目)

Posted on 2017年05月19日


3月調査短観では、注目度の高い大企業製造業で2四半期連続の景況感改善が示されると予想しています。

大企業非製造業の景況感も1年6カ月ぶりに改善すると見込んでいます。
16年10~12月期の実質成長率は前期比年率で1,2%増となり、日本経済が回復基調を維持していることが示されました。

今年、1月以降の経済指標も総じて底堅いものが在ります。
大企業製造業では、輸出の回復や円安の持続を受けて幅広く景況感の改善が見込まれました。
非製造業も、消費の持ち直しを受けて景況感が改善する事に為ります。

中小企業の業況判断も大企業同様に改善が示されていますが、人手不足感が大企業以上に強くて、景況感の改善マインドの流れにマイナスに作用するものと見做されています。

先行きの景況感については、海外経済の不透明感が強いことから、幅広く悪化が示されると予想されます。
トランプ米大統領の政策運営に黄色信号=自身の与党である共和党との議会対立、欧州の政治リスク=イギリスEU離脱・2つの大統領選挙・右派政党の台頭など、情勢は極めて流動的で、大企業は欧米の政治動静に警戒感を持たざるを得ないのが現状です。

また、国内では原油価格持ち直しによる今後の物価上昇が予想されるので、消費に与える悪影響への懸念が出やすい脆弱な面が在ります。
春闘が望み薄ですので実質賃金がマイナスに為り、庶民が余分な支出の抑えに入ります。

16年度の設備投資計画は前年度比2,6%増と、前回から上方修正されると予想しています。
例年、この時期に上方修正されやすいので、収益がある程度底入れしたことも追い風になっていると見做します。
17年度の設備投資計画は、16年度比マイナス4,0%と予想します。
16年度の収益の底入れを受けて、近年の3月調査での伸び率をやや上回っていますが、2017年の先行きに不透明感が重石と為っています。

今回の短観で最も注目されるのは、2017年度の事業計画です。
例年3月調査で、初めて翌年度の計画が調査・公表されます。
円安が進行等の影響によって企業収益がある程度底入れした反面で、海外経済を巡る先行き不透明感は今年も尚一層強いものが在ります。
そうした厳しい情勢の中で、企業が来年度の為替相場・収益動向・設備投資などについて、どのような姿を想定しているのかが注目されます。

(1)前回12月調査では、円安進行や国際商品市況の持ち直し、生産の回復から大企業製造業の業況判断が改善する一方で、インバウンド消費鈍化影響を受けて非製造業は景況感が伸び悩みとなっていました。
日本経済が回復基調維持していることが示されましたが、今年1月以降の経済指標も総じて底堅いものが在ります。

世界経済の持ち直しを受けて、輸出は好調を維持し、これまで冴えなかった消費も、雇用所得環境改善を受けて自動車販売台数に持ち直しの兆しがみえています。
また、金融市場は少々円高方向に移行しているものの、トランプ大統領誕生前と比べると依然として大幅円安水準が維持されています。

大企業製造業は、輸出回復や円安持続を受け幅広く景況感の改善が見込まれます。
国際市況も総じて比較的高い水準を維持し、素材系業種の景況感を支援しそうです。
非製造業は、消費持ち直しを受けて景況感が改善します。
首都圏の再開発と東京五輪を控えた建設需要も押上げ要因になりそうです。

中小企業の業況判断は、製造業が前回比上昇し、非製造業も上昇しています。
中小企業も製造業・非製造業ともに景況感改善が示されていますが、中小企業は人手不足感が大企業以上に強く、多くの企業で業務運営上の不安要素になっていることが、景況感改善の抑制に作用すると見做されます。

先行き景況感は、海外の不透明感が強いことから、企業規模や製造・非製造業を問わず悪化が示されると予想されています。
トランプ米大統領の政策運営や、フランス大統領選や英国のEU離脱等を控えた欧州の政治動静の経済不安定リスクなど、情勢は極めて流動的であり、日本企業は先行きに対し常に警戒感を持たざるを得ないと見做されます。
また、今後物価上昇が予想されるので国内消費に与える悪い影響の懸念が強いのです。


(2)今回の短観で最も注目されるのは、2017年度の事業計画です。
円安進行等影響によって企業収益が底入れした反面、トランプ政権の政策運営や欧州選挙など海外経済を巡る先行き不透明感は尚一層強いのです。
企業が2017年度の為替相場・収益動向・設備投資などについて、現時点でどのような姿を想定しているのかが今後注目されます。

企業の雇用人員判断も一つの要点で、企業の人手不足感は強まり続けています。
前回調査では全体の26%の企業が人手不足と回答し、人手が過剰とする企業の割合から、不足とする企業の割合を引いた数値は第一次バブル崩壊の1992年以来の強い不足感を示しています。
いま、宅配大手企業の人手不足問題が社会問題として捉えられ、宅配人手不足による企業経営への悪影響=値上げ・雇用急増が懸念される中で、今の企業の直近の状況が明らかに成ると察します。


(3)今回の短観で、企業景況感の幅広い改善が確認されるとみられます。
日銀の先行き景気回復・物価上昇の筋書きを後押しする材料になりそうです。
ただし、この結果が日銀の金融政策に直接与える影響はおそらくは限定的になりそうです。何故なら、もともと残された追加金融緩和の余地が小さいうえに、米大統領選後の円安進行と底堅い原油価格上昇とともに物価の上昇に作用するため、当面、日銀が追加緩和を迫られる可能性は大きく低下しているのです。

一方で、目標である物価上昇率2%は依然として未だ遠くて、出口戦略を視野に入れる段階にも在りません。
従って、日銀は2%達成を目指して、長期にわたって現行金融政策の維持を続けるものと予想されます。
従来と比べて、日本の景気や企業の景況感と日銀の金融政策の関係性は多少マインドが希薄化していると言えると思います。

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