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【プルマガα】巨大化タンス預金が更に都銀並み資金量に、なぜだ。(寄稿75回目)

Posted on 2017年06月13日


タンス預金の残高は、金融不安が落ち着いても増加を続けています。

ここ2~3年の増加ペースが高まっているのは、富裕層や中高所得層が資産の防衛を意識して、動かしやすい現金保有を増やしている面が在ります。
いま、長い低金利時代や収益不動産金額が高止まりしているなど、また消費自体に関する関心事が乏しい中で、むしろ相続税の強化などに対して、持てる層の関心事は自分の資産をタンス預金で守る方向に向いている様に思います。

表題のタンス現金残高は2016年末に102,4兆円とピークに達しました。
その金額は、全国7大都市の大阪府・名古屋市・横浜市の3大都市の銀行支店数966店の資金量103,3兆円に並びます。
これは異常と言う数字なのに気付いている人は少ないのがなんとも異常な日本です。

例えば、国民1人当たりの現金保有額を計算すると81万円となります。
但しご家庭に凡そ何時も81万円の現金が、果たしてどの家庭にも平均的に置かれているでしょか。

1人平均81万円現金(=家族4人なら324万円)を自宅に保管している人などいるでしょうか。
それでも、調査から割り出される平均保有額が81万円に成るのは、どこかに物流センターの様な巨大なタンス預金を隠し持っている人がいるからでしょうか。

この理由は、次のように考えると分かりやすいと思います。
今、日本国民が1000人だったとすると、999人が自宅に現金を1万円だけ保有していて、たった1人の老人が1億円を持っていたとします。

さて、それが総数1000人国民の総現金の平均保有額はいくらだと思いになるでしょうか。
(1人×10,000万円+999人×1万円)÷1000人=10,999万円≒11万円と為ります。
1人平均11万円という値は、999人にとって自分の11倍の値になるのでピンと来ません。

総現金の保有の分布の中で、ごく少数の巨大な資産家によって平均保有値が嵩上げされるから、1人81万円という異常にも感じられる平均値が出ています。(=家族6人なら486万円も自宅に在る話)

そして、家計や個人商売人を中心に保有されている現金残高の中で、お札として貯め込まれているタンス預金現ナマを試算すると、直近の2017年2月末で43,2兆円となっていました。
これは、銀行券発行残高のうち43,5%を占めています。

90年代後半以降に、第一次バブル崩壊の金融不安で一段と積み上がったタンス預金は、現在でも一向に減ることがなく、むしろ、この2~3年では増加ペースが上がっていることをあらわしています。
その調査データの変化を見ると、1万円札の伸び率が2015年4月から4%増を超えています。
それ以降、2017年2月まで約2年間に亘って4~7%という非常に高い伸びが続いています。

この間、一方で千円札は1~2%台と低い伸びに在ります。
つまり、その1万円札と千円札の手元保有残高ギャップである2~5%のペースで、ごく少数の巨大な資産家のタンス預金が増加していることを示しているものと察しています。
その様な、巨大な資産家の話など知りもしません。

さて、2014 年4月に消費税率が上がって以来、個人消費の長期に渡る低迷が始まった理由について、人口減少や年金支給開始年齢の引き上げが消費減の原因だと見做されていますが、まだ別の要因が重なっていても不思議では在りません。
もしも、タンス預金の増加と今の消費低調の間に何らかの関係があるとすれば、それはどういった理由に基づいているのでしょうか。

こうした問題理由は、2016 年末のタンス預金は、前年に比べて3,1兆円の増加でした。
これは名目家計最終消費支出の1,0%に相当します。
家計が、自ずとタンス預金を増やそうと言う強い動機を持っていて、収入の中から消費支出に回す分を削ってでもタンス預金を増やしたと見做すと、その様に言い換えると、消費よりもタンス預金を増やそうという国民の手元現金保有動機が強いから消費が減らされたものと言えます。

その、タンス預金の増加額は2011 年に1,0兆円増、2012年に1,7兆円増、2013年に2,4兆円増、2014年に2,4兆円増、2015年に4,8兆円増、2016年に3,1兆円と推移しています。
6年で15,4兆円増なので地銀NO1横浜銀行の1,7倍の地銀が誕生した事に為ります。

また、2013年からタンス預金の増加が更に目立ち始めて、2015 年と2016年は特に大きくなった様です。
これは家計調査にて黒字率の拡大と連動した変化にも見えます。

1つの考え方として、銀行の貯蓄の中から現金にシフトしたという資産の選択をした行動を視ることは出来ます。
但しそれは保有するやり方の内訳の変化に過ぎません。
そうではなくて、所得の増加分を消費に回さずに余剰金の使い道として、実はタンス預金に割り当てる可能性が在るのではと見做されます。

特に富裕層や中高所得層は強い現金保有動機が在るのはないのかという見方です。
実際に男女高齢者は1人当たり数百万円程度の現金なら、庶民度でも凡そ自宅に保有しています。

家計調査の年収階層別の消費性向の変化をみても、2014年以降の変化として消費性向の低下が目立っています。

その為に、2015~2016年を考えてみると富裕層にとっては資産課税強化が大きな出来事件して捉えられていた可能性が在ります。
2015年1月からの相続税課税の見直しが、爾来、富裕層の相続税対策としての収益不動産取化と言うとんでもないアパートの急増に繋がり、そして翌2016年1月はマイナンバーの導入が行われました。

財政再建の矛先が、薄く広くでは無くて、おそらくは政府が富裕層を狙い撃ちにしているのではないのかと思わせました。
これに前後して2014年11月8日には、安部総理が8%の消費税率を10%にするタイム・スケジュールを延期しました。

そして、2016年6月1日には二度目となるタイム・スケジュールの再延期が行われました。
これは、安倍総理の財政再建の手法を国際的に疑問視させると同時に、資産への課税によって消費税増税の必要な分を肩代わりさせようとしているのではないかという疑念を生じさせた可能性が在ります。

そもそも、財政再建について2019年10月の消費税増税は予定通りに行うのかの質疑に、政権次第じゃないのだろうかと答えても無難では在りません。
富裕層が、自分が動かしやすい現金で金融資産を保有することで国の財政不安に対して防衛上対処しようとしているのでしょうか。

身近な変化をみても、2015年の相続税強化に前後して相続税対策を新たなビジネスにする広告や勧誘が急激に増えました。
長い間のマイナス金利政策によって借入を増やしやすくなり、資産家が新たにアパート・マンション素人経営に乗り出して家賃収入を得るケースも多いようです。

ここ2、3年は消費をテーマにした関心ごとが次々に起こるというよりも、資産を守らなくてはいけない時代が来るかもしれないと言う富裕層が心を動かされやすくなっている時代に成った可能性が在ります。
その消費低迷=内需低迷の原因として、人口減少・年金問題と言う2つの大きな要因以外に、資産防衛としてのタンス預金の増加も原因が在ります。

その3点の原因に付いてそれぞれ視ると共通点が在ります。
将来の労働人口の社会保障問題=年金支給の実現性に不安が在る点です。
将来の社会保障の実現性が無い限り、富裕層の男女高齢者さえ親族の家計案じて益々タンス預金に勤しみ出します。
人口減少の中で、政府にGDP成長の間違いない示しがないと、巨大なタンスが益々メガタンスに成ります。

そして、6年で15兆円余増と言う地銀NO1超えるタンス預金の資金量が誕生して、無利息で(=融資で運用して世の中に金が流通して内需拡大につながっていく蓋然性もなくて)運用される事もなく、将来の家計の為にタンスに眠り続いていく事実に、なんともやり切れない思いがします。

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