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【プルマガα】東南アジア17年度経済見通し、フィリピンの力強い内需(寄稿80回目)

Posted on 2017年06月30日


東南アジア5カ国およびインド経済は、内需主導の緩やかな成長が続いています。

2016年に入って資源価格が底打ちして、中国経済も意外と底堅い推移を続ける中で、10~12月期は輸出が共に回復していました。
また、冷え込んだ民間投資もやや持ち直しの様です。

一方で、民間消費はインフレ率上昇を受けて若干鈍化するなど、中国の需要構造には変化が見られています。
17年度の消費者物価上昇率は逆に資源高と通貨安に伴う輸入物価高のインフレを主因に上昇基調が続く見通しです。

もっとも、経済自体は緩やかな成長に止まるほか、資源価格の上値が今は重たいですので、今年後半には物価上昇ペースが落ち着いたものとなると考えられています。

先行きの金融政策では、物価上昇傾向が続くとともに、米国の利上げペースの加速や、欧州政治情勢の混乱などで、新興国からの資本流出のリスクも依然として燻り続ける事から、各国の中央銀行は当面の政策金利を据え置くものと見做されます。

経済の先行きは、引き続き内需主導の緩やかな成長を予想します。
緩やかな物価上昇によって実質所得が目減りする事から民間消費の伸びは若干鈍化しますが、輸出増加傾向や資源価格上昇などを追い風に、企業業績が改善するなかで民間投資も連動して持ち直していくと視ています。

公共部門は、景気の動静に配慮して財政出動運営をする面が在りますので今後も続けるものと察します。
一方で、金融の政策で金利変動は中立化されますので政策面での景気の押上げは期待しない方が良いと思います。

実質GDP成長率前年比伸長率実績・予定と(インフレ率)
☆ フィリピン   
2016年実 →6,8%(1,8%)    
2017年予 →6,5%(3,3%)    
2018年予 →6,6%(3,5%)
           
☆ マレーシア
2016年実 → 4,2%(2,1%)    
2017年予 → 4,5%(2,8%)    
2018年予 → 4,7%(2,8%)
           
☆ インドネシア
2016年実 → 5,0%(3,5%)    
2017年予 → 5,2%(4,2%) 
2018年予 → 5,4%(4,6%)

☆ タイ
2016年実 → 3,2%(0,6%)    
2017年予 → 3,4%(1,2%)    
2018年予 → 3,4%(2,1%)
           
☆ ベトナム
2016年実 → 6,2%(2,9%)    
2017年予 → 6,5%(4,6%)    
2018年予 → 6,4%(4,5%)
            
☆ インド
2016年実 → 7,5%(4,9%)    
2017年予 → 7,3%(3,8%)    
2018年予 → 7,5%(4,9%) 
            
インドに続いて、フィリピンとベトナムが好調です。

経済概況、堅調な消費を支えに緩やかな成長が持続しています。物価と資源高と通貨安を背景に上昇基調が続いています。
金融政策が緩和的から今が中立の政策へ転じています。
インフレ率が上昇しているのが理由です。

そして、経済見通し、輸出・投資の復調で成長率は全体的に若干上昇しています。
東南アジア5カ国、およびインド経済の先行きは引き続き内需主導の緩やかな成長を予想出来ます。
10~12月期は、タイは国王の死去によるあらゆる自粛ムードの広がりが在り、フィリピンは大統領選挙の特需の剥落が在って、インドは例の高額紙幣の廃止など各国固有の経済要因から景気減速する国が多かったのですが、こうした景気の下押し要因は今年に入って和らぐなかで、成長率は若干上向くと視ています。

海外経済は米国を中心とする主要先進国の緩やかな成長と、資源価格の上昇による資源国の経済の持ち直しにより、世界経済は緩やかに成長すると見込まれますが、その足元で底堅さを未だ見せている中国経済が減速するなかで、10~12月期にアジア新興国で目立った実質輸出の回復は短期的な動きに止まるだろうと予想されます。

もっとも、中国からの生産拠点の東南アジア諸国・他国移転や通貨安による価格競争力の向上や、外国人観光客の増加は引き続き輸出をサポートするものと見込まれます。
今年、年間を通じて輸出増加傾向は続くと予想出来ます。

一方で、輸入は国内需要が底堅く推移して現行水準の拡大基調を維持すると視ます。
結果的に、17年の純輸出の成長率寄与度は16年度に比べて若干改善するものと予想します。

内需は、引き続き底堅い成長が見込まれます。
民間消費は、今後も継続的な賃金上昇と、良好な雇用環境を背景に中間所得層が増加することから底堅く推移しますが、物価上昇で実質所得が逆に目減りしますので、民間消費の伸びは16年と比べて若干鈍化します。

又、民間投資は、先行き不透明感が依然と払拭されないことから当面低調に推移しますが、輸出増加傾向や資源価格の上昇などを追い風に企業業績が改善するなかで持ち直していく事に為ります。

公共部門は、インフラ整備の進展や消費刺激策といった景気に配慮した財政出動運営を続けますが、インフレ率の上昇で緩和的な金融政策が中立化されることになるので、政策面での景気押上げ効果は期待しにくくなると視ます。
先行き経済の不透明な下方リスクについては、国内の要因よりも海外の要因に注意する必要があるのが日本も共通しています。

まずは、米国において保護貿易主義的な動きが強まっていることが挙げられます。
トランプ大統領は即座にTPPから離脱した上で、今後も国境の調整税の導入や、輸入関税の引上げ、為替操作国認定などの、保護貿易主義的な政策が進められる可能性が高いと視ます。

このことは、外国資本のアジア新興国への投資進出の動きが遅れたり、世界的な貿易取引の収縮にも繋がるのです。
特に輸出は、直接的な米国向けに止まらず、アジア域内の生産ネットワークで最終組立を行う、中国を経由した間接的な米国向け輸出も落ち込むと考えられます。
GDPに占める輸出と投資の割合が大きいアジア新興国にとって負の影響は大きいものが在ります。

フィリピン経済は、16年前半に大統領選挙の関連特需によって景気が加速しました。
その後は、新政権移行に伴う予算執行の遅れも重なって政府消費=財政出動が失速するなかで、10~12月期の成長率は前年同期比6,6%増(前期同7,0%増)と低下しましたが、14年が6,2%成長で15年が5,9%成長だったことを踏まえると、現在も高い成長を維持していると言えます。

民間消費は、低インフレ環境や雇用・所得の改善による家計の購買力の向上と、緩和的な金融政策を追い風に好調が続いています。
また、電子機器を中心に財する輸出は同9,6%増で、サービス輸出もビジネスの外注需要が好調で同14,2%増と、それぞれ高い伸びを示しています。

こうした消費と輸出拡大を背景に、企業の設備投資需要も旺盛で、投資は二桁増の高い伸びを続けています。
17年は、前半まで選挙関連特需の剥落の影響が続くことから成長率は6%台半ば伸び悩むものと視ます。
後半は投資主導の成長によって6%台後半まで加速すると予想します。

ドゥテルテ政権はフィリピン開発計画でインフラ向け支出を2016年の5,1%から2022年には7,4%まで引き上げる目標を掲げています。
17年度のインフラ予算は前年比13,8%増(GDP 比5,4%)まで拡大させています。

また昨年6月に就任したドゥテルテ大統領の例の対米日中バランス外交の結果、日本と中国から約0,5兆円の政府開発援助ODAが決まったことも、今後のインフラ開発の後押しとなると見込まれます。
日・米・中の大国の間の中で、実利獲るドゥテルテ大統領の思想が実に現実主義者そのものだと分ります。
消費者物価上昇率は、資源高とペソ安による輸入コストの増大や、力強い内需を背景にフィリピン中銀目標(1~4%)の上限付近まで上昇すると視ます。

民間消費は、こうした物価上昇が重石となる一方で、ここ数年の投資の拡大によって雇用境が大きく改善している事が在り、そしてペソ安の進行による海外就労者の送金額の意外な増加が続く事から、堅調な伸びを維持すると視ます。
民間投資はこうした公共投資の高い伸びと堅調な民間消費を受けて、民間投資も堅調な伸びを維持します。
外需については、財と労働サービスの輸出がペソ安とアジア経済の緩やかな拡大を受けて増加基調を続ける一方で、力強い内需の拡大によって輸入が輸出の伸びを上回るものと見込まれます。

結果、純輸出の寄与度はマイナスとなり、成長率を押下げる構造は続くものと見通します。
フィリピン中央銀行は現在、緩和的な政策スタンスを維持しているものの、今後は物価上昇が見込まれる事と、また経常収支の悪化が材料視されてペソの下落圧力も高まるので、17年内にはやや小幅の利上げに踏み切るものと視ます。

フィリピンの実質GDP成長率は17年が6,5%、18年が6,6%となり、大統領選挙関連の特需で押し上げられた16年の6,8%と比べて低めとなりますが、フィリピンの力強い内需を背景に周辺国に比して高い成長が続くものと予想出来ます。

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