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【プルマガα】世界経済は海外が今年安定の様です(寄稿87回目)

Posted on 2017年09月9日


このところ、世界は米国大統領選挙時のトランプ大統領関係者のロシア疑惑や、米国のパリ協定からの離脱表明や、英国における政権の強化を求めて行われた選挙での保守党の後退、世界各地に見られるISがらみのテロといった政情不安定要因のニュースが目についています。

ところが、こと経済については、当面の安定の道筋がどうやら見え始めたようです。
先ず、米国では大統領選挙中に掲げられた大胆かつ野心的な経済政策がその侭では実行されないことが明確になりつつあります。
例えば、10年間で1兆ドルとされたインフラ投資も初年度の予算案では政府の支出が200億ドル、その他の支出が800億ドルで合計1千億ドルとされています。

こういうことであれば、10年間のインフラ投資もこれまで言われていた1兆ドルの公共投資ではなく、単に2千億ドルの投資ということになります。
法人税の35%から15%の減税や、所得税の減税の提案はその基に成る歳入と歳出の計算の根拠実に怪しい等の理由から、このままでは仮にその関連法案が議会に提出されても審議は行われないだろうとまで言われています。

トランプ大統領の歳出改革の目玉の一つのオバマ社会保障の抜本的改革も、大統領が提案している代替案では自分の与党共和党の同意さえも得られないだろうと言われています。
かくして、選挙中に新政権に期待されていた財政面からの米国景気刺激効果は働きそうも在りません。
今後もそうだとすれば、トランプ大統領が就任直前から続いてきた将来を先取りした株価上昇に支えられたアメリカの活況はその根拠が薄れることになります。

金融政策については、4,3%前後という低い失業率と、着実な物価上昇を背景に、この6月に予想通り異次元の金融政策終了後第4回目の金利の引上げが行われて、米国の政策金利は1%となりました。
今年中にもう1回の引上げが、来年も金利の引上げが何回かに分けて行われそうです。
その点では、言われていたシナリオ通りです。
このように米国経済については、年初に予想されたような心理的要因(アメリカの将来が良さそうだ、透明だ)に導かれた今の活況の是正が図られる一方で、今後は経済成長率と雇用等の実態経済に着目した地味な堅調化の道をたどるのではないかと思われます。

アメリカの金利の継続的引き上げは、他国の金融政策や、経済動向次第ではありますが、逆にアメリカの動静が世界の金融の不安定化要因でも在ります。
ですが、今のところその兆は見られません。
残された不安定要因は、今のところは、9月末の政府の借入限度の処理ぐらいです。

年初来注目されていた英国のEU離脱交渉のもたらす不安定化についても、道筋が見え始めた感が在ります。
最大の懸念は、重要な選挙を控えていた欧州大陸諸国において、英国離脱の決定が引き金となって反EUの動きが強まり、EUからの更なる脱退や、ひいては共通通貨であるユーロの不安定化が生じるのではないかという蓋然性でありました。

現実には、オランダは3月の選挙でEUに懐疑的とされた政党は政権を取るには至らず、フランスではEU離脱を掲げたルペン党首の政党の大幅な躍進はならずに、逆に欧州派のマクロン氏が予想に反した大幅な支持を集めて新大統領に選ばれました。

今夏に総選挙が予定されているドイツでは、最近の地方選挙の結果によればメルケル首相の率いるCDUへの支持率が予想された以上に高いことが判明しました。
EUの中核であるドイツ首相の4期目の続投が有力視されています。

そうだとすれば、懸念されていた欧州の金融・経済の混乱の可能性は相当低くなったように見做されます。
ユーロ圏の金融の統一は着実に進んでいて、また今のEUが大好きだと言うEU諸国民の欧州大陸の大家族主義思想が浸透していると思います。

ユーロ圏の金融政策についてみると欧州中央銀行は、わが国同様に異次元の金融政策を実施中です。
現在その政策を縮小する方向にあります、年内にその具体策を打ち出すかが今一番注目されています。

英国は、前任の首相に続いてメイ新首相の国民への意向打診は裏目に出ました。
選挙の結果で政権政党である保守党は後退して、強硬な離脱を目指すという与党方針の維持は難しくなりました。
今後のEU離脱交渉ではイギリスがもっとよりソフトに対応せざるを得ません。
このEU離脱交渉は予定の2019年3月までに完結することは尚一層困難となりました。
ロンドンに現地産業界の根城置いている日本も、この離脱問題の長期化を覚悟すべきです。

中国は、この秋の共産党大会までは、とにかく経済的な安定を目指すことが予想されています(既に、当局が7月に発表した主要経済数値の6,9%成長自体が怪しいとの外国の意見があります)。

その、いつもの中国共産党政府の問題先送り精神傾向のもたらす長期的なメガ負担増が、いったいどうなるのかという問題はありますが、今のところは経済的な波乱は当面考え難いと思います。
主要数値で、経済の状況はむしろ上ぶれの傾向がみられているのです。
その数値のグラフが秋の共産党大会目指して、うなぎ上りの様な威勢の良い折れ線グラフに為っています。

このようにみると世界経済は当面、少なくとも今年内の程度なら、格別の波乱要因はなさそうです。
かくして、わが日本国の経済の今後は海外の政治情勢に揺さぶられる事もないと思いますので、今迄にも増してわが国自身の、安倍総理の顔が見える自由化に依る岩盤突破の政策にかかっているようです。
そうしないとGDP成長に繋がりません。

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