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【プルマガα】2016年は賃金増してなかった、なぜだ(寄稿89回目)
Posted on 2017年10月14日
2016年、45~54歳の大企業男性正社員(役職層・経営職)の賃金下落が消費抑制要因=内需抑制の一因に為っていました。
【1】厚生労働省の賃金構造基本調査によれば、2016年一般労働者の所定内給与は、前年比ゼロ%と横ばいに留まっています。
【2】一方で、毎月の勤労統計における一般労働者の所定内給与と比べても、厚生労働省の賃金構造基本統計調査は名目GDPの家計消費との関係が深いのが事実です。
【3】その背景には、賃金構造基本統計調査の相対的な正確性の高さが在る事と、一般労働者の所定内給与とは恒常的な所得の色彩が強いことがある為です。
経済全体(マクロで見る3種類の経済である政府・企業・家計の指数)の、家計消費の変動を左右しやすいと考えられています。
【4】この為に、2016年の家計消費の低迷は、家計の恒常所得が増えなかったことが一因であることが推察されています。
【5】日本で、その平均賃金の上昇を阻んでいるのは、人手不足感が低い企業や職種から、人手不足感の高い企業や職種に人材が異動するような、労働市場そのものに移動の流動化が乏しいことも一因と推察されています。
その背景には、正社員なら同じ会社で長く働くほど賃金や退職金や年金等の面で恩恵を受けやすくなる、日本的な雇用の慣行があると考えらます。
【6】ゆえに、日本の個人消費を本格的に回復させるために必要な恒常所得を引き上げる為には、正社員の解雇ルールの明確化や、職業訓練等も含めた転職支援の充実が必要となって来ます。
具体的な調査内容で、性・年齢階級別にみると45~54 歳男性と60 代女性の賃金が下落していました。
労働者数量を勘案すれば40代後半~50代前半の男性が最大の賃金押し下げ要因となっていることが推察されます。
その背景には、30年前の第一次バブル期前後の売り手市場で、大量に採用された世代で在るがゆえに、その狭いゆえに昇進率の低下等により平均賃金が下がっている可能性が高いのです。
また、学歴別にみると中高学歴(大学・大学院卒や高専・短大卒)の中高年男性の賃金が押下げに効いていることがわかりました。
こうした事から、学歴による賃金格差が縮小する傾向にあることが読み取れますが、相対的に元々人手不足感が低いホワイトカラー事務職の賃金が上がりにくくなっている事を示唆しています。
一方で、企業規模別にみると大企業の男性賃金のみが全体を押し下げていることがわかります。
これは、企業規模による賃金格差が縮小傾向にあることを意味しています。
その理由として、相対的に元々人手不足感が強い中小企業の賃金が上がりやすくなっている可能性が高いものと見做します。
さらに、雇用形態別にみると45~54歳男性、60代前半男性、60代女性、それぞれの中高年正社員の賃金が全体を押し下げていることがわかります。
これも、実は正社員と非正社員の賃金格差が縮小傾向にあることを意味しています。
但し、60歳代の正社員についてはどの会社でも定年延長制度等による賃金低下(延長前の50%以下の賃金に為ります。企業年金支給除いて)が響いていることが示唆されると見做されます。
その、賃金統計の正確性を踏まえると、2016年の個人消費が低迷したのは、恒常所得の色彩が高い一般労働者の所定内給与が伸びなかったことが一因と考えられます。
以上より統計で、賃金上昇の足を引っ張っているのは45~54歳の大企業男性正社員であると考えられます。
この世帯は消費支出額も大きいため(子供の進学・持ち家)、通常の個人消費低迷の一因になっていると考えられます。
この世代は、30年前のバブル期の大量採用で入社後の出世率が低いことに加えて、事務職や営業職の人手不足感が元々相対的に低いために、賃金が上がりにくくなっている可能性が高いのです。
そう言えば、30年余前の就職活動では、会社案内に出向いたら食事や電車代や日当などの大盤振る舞いで、自動車会社の遊覧のみで1日で1万円の臨時収入が在った程です。
首都圏の当時のラーメン代が300円前後の時代で、眠たい会社巡りで1万円だなんて、いまどうなのでしょうか。
日当2万円程度臨時収入がありますでしょうか。
一方で、高卒・中小企業・非正社員の賃金がそれぞれ正社員の賃金に追い付いている過程にあることからすれば、正しく労働生産性に見合った賃金への調整過程にあるとも言えます。
他方で、シニアの賃金も平均賃金の足を引っ張っていますが、これはむしろ労働力率上昇を通じて、むしろ人手不足緩和に貢献している可能性があります。
それが、総賃金でみれば賃金増加の要因と前向きにとらえることができます。
こうして見ると結局、日本で平均賃金の上昇を阻んでいるのは、人手不足感が低い企業や職種から、人手不足感の高い企業や職種に人材が異動するような労働市場の流動化が乏しいことも一因と推察されます。
特に、最も賃金上昇の足を引っ張っている45~54歳の大企業男性正社員の労働市場の流動化を阻んでいる背景には、同じ会社で長く働くほど賃金や退職金等の面で恩恵を受けやすくなる日本的な雇用慣行があると考えられています。
ちなみに人手不足感の高い企業と言うと直ぐに思いつきますが、今月驚く業界に若い女性の進出が在りました。
その職場に入ったら毎日外部の人間と接触する事が減ってきます。
在るのは大自然が一杯で、乗っているのは2千万円以上の大型重機。
一日中、1人で山の中を重機で伐採して現場下に運ぶ仕事で、男でも辛い山師の業界です。でも意外と仕事振りが男優りなので、次々と伐採重機ガールが誕生していると、地元の材木会社社長が笑顔で語っていました。
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